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二人の映画に乾杯を

タイトルはMy Hair is Badの「悪い癖」から。

彼女Ⅱ

彼女に会った。
いや、正確には見かけた、と言った方が正しいのだろうか。

彼女は変わらなかった。相変わらず憎たらしく燃える夕日のような口紅をしていた。
彼女が電車に乗る瞬間に、ふわりと風が吹いて、彼女がスカートを翻しながら乗車するのを見ていた。

たぶん。
目が合ったと思う。ただ、一瞬の出来事すぎて、もしかしたら自分の妄想かもしれない、とも思ったが、後で思い出して気づいた。
目が合ったのだ。彼女の目は相変わらず透き通っていて力強く、その目で例えば人が打たれてしまうような、そんな目をしていた。

衝撃だった。
イナズマが全身に走る感覚、なんて馬鹿げている表現だなとずっと思っていたが、なんとなく、この感覚なのかもしれないと思った。

衝動だった。
気づいたら足を車内に踏み込んでいて、その目に、その目に引き寄せられたかのように電車に乗った。

会いたい訳では無い。話がしたい訳では無い。
変わらなかったその目の奥をもっと近くで見たい訳では無い。と必死に自分の中で弁解しながら、隣の車両にいる彼女の悔しくも美しい横顔にガラス越しにキスをした。





というのが昨日した妄想だ。