空虚 と 雨
雨が降っている。
桜はもう限界だと言うような表情で耐えている。何に?何かに。それは風かもしれないしみんなから見られることへの辛さかもしれない。
桜にそんな感情ないよなんていう人にはあっそ、とだけ伝えたい。
わからない。
わからなくなってしまった。みんなに追いつくために必死で、こなしてきた。なのに、まったく追いつかないのだ。
わからない。
わからなくなってしまった。頭を良く見せようと覚えたてのむずかしい漢字を羅列して、自分でもわけがわからなくなってしまった。
わからない。
今までの人生において、人を好きになるとか、そういうことはたくさん経験してきた。なのに、今ではまったくそれがわからなくなってしまったのだ。
わからない。
好きということの意味を辞書で引いても、辞書は重たくて面倒くさいから、Googleでポチりと検索しても、なにも、わからないのだ。
空虚、なんて大人びた言葉をつかって、ほんとうは空っぽなのだ。空虚ではなく、空っぽといったほうが、正しいのかもしれない。
雨が降っている。
桜はまだ、咲いている。