二人の映画に乾杯を

タイトルはMy Hair is Badの「悪い癖」から。

@00_xx

つまらない、眩しすぎる画面を見た。

SNSなんて一番つまらないと思うのに、やめられないのは、こわいからだと思った。

ひとしきりつまらない画面をチェックして、1度目の就寝。目を瞑ると君がいる。

瞼の裏の暗闇にいる君は、つまらない光と同じくらい眩しい笑顔で、私のことを苦しめた。

次はいつ会えるだろうか。

目を瞑ると君がいるから寝られなくて目を開けたら、現実の暗闇が押し寄せて、急に虚無感に襲われた。

君のせいで目が覚めてしまったので、とりあえず自分のつまらない気持ちを呟いてみる。

           “@00_xx  次はいつ会えるだろうか。”

瞼の裏の暗闇とは裏腹にピカピカする光を見つめて、2度目の就寝。

明日なんて早く終わればいい。いや、もう0時回ったから今日か。 

今日と明日なんて、早く終わってしまえばいい。

現実の暗闇に自分の気持ちを溶かしてまた目を瞑る。

         “@00_xx 早く、君に会えたらいい。”

私は、退屈な毎日に恋をしている。

 

彼女

「煙草にね、口紅がつくでしょう。それが好きなの。」と彼女は言った。
私は、くだらない、と思いながら真っ赤に染めた唇で煙草を吸っていた。

その夜に、爪を塗った。
安っぽい赤に染まった足の爪は、まるで自分の価値の無さを表しているようで、つらくなったのですぐ靴下を履いた。

服を買った。
服を買う度に、高い服を身に纏うことでしか自分を保てない自分の脆さに嘲笑した。

簡単に崩れてしまうものばかりだ。
積み上げていくのは大変でとてもとても時間がかかるのに、すべて脆い。

彼女には勝てない。いや、
勝ち負けなのかもわからないけれど、勝てない、と漠然と感じてしまうほど、彼女は完璧だった。

綺麗な横顔と煙草が良く似合っていた。
煙に巻かれた彼女の表情を一瞬たりとも逃したことは無い。

彼女は何処にいるのだろう。私はまた、彼女の言葉にくだらないと思いながら憧れるのだろうか。彼女みたく口を赤く染めて、彼女みたく煙草にキスをするのだろうか。

彼女はいま、何処にいるのだろうか。





空虚 と 雨

雨が降っている。
桜はもう限界だと言うような表情で耐えている。何に?何かに。それは風かもしれないしみんなから見られることへの辛さかもしれない。

桜にそんな感情ないよなんていう人にはあっそ、とだけ伝えたい。

わからない。
わからなくなってしまった。みんなに追いつくために必死で、こなしてきた。なのに、まったく追いつかないのだ。

わからない。
わからなくなってしまった。頭を良く見せようと覚えたてのむずかしい漢字を羅列して、自分でもわけがわからなくなってしまった。

わからない。
今までの人生において、人を好きになるとか、そういうことはたくさん経験してきた。なのに、今ではまったくそれがわからなくなってしまったのだ。

わからない。
好きということの意味を辞書で引いても、辞書は重たくて面倒くさいから、Googleでポチりと検索しても、なにも、わからないのだ。

空虚、なんて大人びた言葉をつかって、ほんとうは空っぽなのだ。空虚ではなく、空っぽといったほうが、正しいのかもしれない。

雨が降っている。
桜はまだ、咲いている。